2012年10月22日

ドル円 80円間近

前回等の記事から引き続き、ドル円は順調に上がっている。

先週のアメリカ経済指標が軒並み強かったため、長らくアメリカ経済の低迷に疑心暗鬼だった投資家のマインドも徐々に上がってきたという所だろうか。特にフィラデルフィア連銀製造業景況指数は素晴らしかった。弱かったのは新規失業保険申請件数だろうか。若干予想より多い数字だった。が、この申請件数はこの所先月分の指標を毎回下げて修正してきているので正直当てにはならない。
その強い指標に加え、今日の日本の指標が強力にドル円を支援していたと思う。この所日本の指標の中では最も重要だと思っている貿易収支である。予想より大幅に赤字となっている。これは、今まで『円は買われる通貨』であったのが、『円は売られる通貨』に変わりつつあるのを如実に表している。つまり、徐々に円高が進む通貨であったのが、徐々に円安に進む通貨になりつつあるという事である。

これは投資家にとって投資スタンスを変えるに値する大いなる転換である。今まで円は、貿易黒字国だから黙っていても買われる、だから買っておこうという長期的スタンスで投資されてきた背景がある。それが変わりつつある。そして、こういう長期投資を行うのは例外無く大口投資家である。彼らは目先ではなく長期的な視点で投資を行うので、1~2ヶ月貿易赤字が続いたからといってスタンスを変える事は無いだろうが、一年続けばどうだろう。今後徐々に円売りポジションを持つ投資家が増えてくるのではないだろうか。そして、彼らが円売りに動き始めれば、その動きはメディアを通じて一般投資家に伝わり、それが大きな円売りトレンドを形成していく。
この状態が続けば、今後このような動きになるだろう。
欧州問題の目途やアメリカ経済の復調が見えれば、動きは更に早まるはずである。

製造業を営む者からすると、国内の輸出製造業が生産全開となれば黒字化しそうな数字だとは思っているが、昨今のトヨタが海外に工場移転する等の動きからすると、このまま貿易赤字が定着するのでは無いかと考えている。

2012年10月19日

ドル円 予想的中

以前の記事で書いたように、最初はそれほど動かなかったドル円も株価も上がってきましたね。
やはり、アメリカ経済に対する投資家のマインドは未だかなり疑心暗鬼的になっているため、良い指標が出たとしてもその動きはかなり遅い。
恐る恐る一歩を踏み出すといった体でドルを買っているのがよく分かる。
その中でトレンドが起こって一般市場者全体が動き出すには、これ位掛かるという事だろうか。

これを見てもらえば分かるのだが、一時ドル円は下がり、その後急騰している。
しかし、高値は全く下がっていなかった。
これはどういう事かと言うと、失業率7%台の雇用指標発表から、アメリカ経済が立ち直り始めてこれからドルは上がるぞ、と考える投資家がかなりの数生まれ、下がったドルに対しても変わらず買いが入り続けたので、指標発表に対し懐疑的であった人々も徐々にドル買いを始め、トレンドが生まれているという事である。
既に半月で2円近く急騰しているので今後調整が入る事は必死だが、アメリカの経済指標と企業の決算報告が快調である限り、この大きな流れは変わらないと思われる。
それに加え、日本の貿易赤字・アメリカ長期金利の増加、この2点がドル円高を援護している。無論、欧州の問題が徐々に切り分けられ、問題と対処が明確化されるに伴う安心感も無視出来ない。
当面はアメリカ経済と欧州問題で為替が動いていく構図に変わりは無いだろう。

2012年10月11日

製造業とIT

快走コンビニに陰り 上期決算、消費変調にじむ
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC1000H_Q2A011C1EA2000/?dg=1

まぁ、製造業がこれだけ悪いのだから当然だろうな。まだまだ日本は製造で食っている国。景気の変化は、まず製造業を直撃し、その後数ヶ月間のタイムラグの後に一般消費へ反映する事が多い。逆に消費が陰る頃には製造業は持ち直していたりする事もある。(その後数ヵ月後に消費が持ち直る)
何年も前から、テレビでは製造関連のニュースがめっきり減ってしまい、あろう事か製造を軽視する声まで上がるようになって噴飯物だが、こういう日本の構造をもっと良く若者に発信するべきだと思う。
ITのようなサービス業の輸出で飯は食えない。結局、製造業等がIT関連の得意先なのであって、ITのみで国が成り立つ訳ではない。まず製造があって、そこにITがくっついているのだ。

無論、私も、日本が未来永劫製造業で食っていく国であると思っている訳では無い。最近、特に顕著だが、新興国の安いコストで作ってきた製品に日本の高い製品が負かされる事が多い。私の会社でも中国品に大口の案件を取られた事がある。その後、品質の悪さから半分ほど取り返したが。
物を作る以上、人件費の安さに敵う事は出来ない。だから、これから日本の製造業は、実際の製造現場は海外に作るか、日本に安い海外労働者を連れてきて作らせ、日本人は全員その監督クラスになっていくのが理想の形だと思っている。日本製の品質を保ったまま、人件費を削減し、日本人の雇用も守れる。

サービス業で稼ぐと言えば、観光は面白いと思う。ただ、欧州やアメリカから日本は非常に遠い位置にあるのがネックだが……。
しかし、逆に言えばある程度裕福で安全な観光客に絞る事が出来るとも考えられるだろうか。(旅費が高いからね)

2012年10月5日

アメリカの失業率が遂に7%台に

今日の雇用統計で、遂にアメリカの失業率が7%台になった。9月雇用者数こそ多くないものの、失業率が7%台を回復するのは実に三年半ぶりである。アメリカ経済が回復してきている何よりの証拠だろう。
上のリンクの通り、アメリカは2012年初頭から欧州問題で足踏みしたものの、今日まで大きなリセッション無しに回復を続けてきていた事が分かる。むしろ、欧州で大問題があったにも関わらず、これだけの力を示した事に、アメリカ経済の底堅さを見るようである。

さて、今回の結果により、どのような事が起こるか。
まず、投資がリスクオン・活発化し、株価が上昇する。日本の製造業は外需の増加を受け、1ヵ月後辺りから受注が回復する。
為替の方はドル高方向に動いていくが、短期間に1円以上動くような急激さはないと思われる。これは、高い失業率が余りにも長期間続いたので、アメリカ経済に対する投資家のマインドがまだまだ疑心暗鬼だからである。この7%台が2ヶ月3ヶ月続いた後、慎重な大口投機筋が動き出すと思われる。そこからドル高方向のトレンドが明確になるはずである。上に書いた日本の製造業の受注も、この7%台が単発に終われば、それなり以上には回復しないと思われる。ただ、受注は浮き沈みありながらも、平均的には横ばいやや右肩上がりの印象なので、今回の失業率低下は確実にその回復傾向の助けになるはずである。

それにしても、8月の失業率が8.1%で、今回が7.8%である。バーナンキが毎度経済が絶望的だとのたまっている事を信じれば、急に0.3%も回復するなど信じられない。先月の雇用者数が4.5万人も増加修正されている事と言い(これは統計人数の半分に当たる。こんな人数を間違えるなど、どれだけ無能なんだと言いたくなるが)、何か作為的に弱い統計を出してドル安に持っていこうという姦計すら感じられてしまうのだが。それとも、選挙を前に少しでも数字を良くしろとでも言われたのか。

まぁ、こういう根拠の無い想像は、いか様にも自分好みに変えてしまえるのでやめよう。
信じる物は事実のみ。日本経済のために、アメリカ経済の強さを信じる事としよう。

2012年10月4日

ドル円

持ち直してきましたね。
今回の要因は、やはりバーナンキFRB議長がアメリカ経済が上向いてきた事を示唆した発言だろうか。バーナンキは輸出政策を進めるオバマ政権を支援するためか、事あるごとにドル安を主導してきた人物だが、そのバーナンキが経済の持ち直しを認めたと言う事でドル買いが起こったという事だろう。
見慣れてしまったが、相変わらず日本の貿易収支が赤字なのも投資家のマインドに作用していると思われる。長期的に見ると、1ドル360円が崩れてからというもの、今まで日本は貿易黒字であったからこそ、投資家は実需が自動車等を売って回収した外国通貨を円に変える動きについて行こうと円高が進んできたわけだが、今それが逆転している。
海外では原爆事故後も日本の対応などに対して高い評価があるので、持ち直してまた貿易黒字化するだろうという思惑が強く、現在は本格的な円安に発展してはいないが、このまま貿易赤字が続けば投資家のマインドは疑心暗鬼になり、ある所で爆発的円安になる事が予想される。
数十年ぶりに日本が貿易赤字に転落したという初めての報道後2~3ヶ月で10円近くも円安になった。ファンドや大口投資家筋がいよいよ間違いないと判断すれば、急激な円安が起き、それに市場が釣られて加速度的な円安となるだろう。
また、中国問題の危機感から海外勢の円買いが下火になりつつあるのも理由の一つと思われる。

以前の記事で書いたように、実需が外国通貨を円に変える量は大した額では無い。その動きに釣られる市場こそが大きいのである。そして、実需の場合、投資家と違って売った後に買う買った後に売るという反対売買が無いので、永続的に一方向にポジションが蓄積していく。その効果を考えてポジションを持つ投資家もいる。

それにしても、実需の頑張りで売上が上がれば上がるほど利益が小さくなるとは、皮肉な構造である。製造業に身を置く私としては、非常に歯痒い。いっそ円を捨ててドル使用国になってしまえば問題無いのに・・・。または、現在検討中のように円をほぼ無制限に刷れるようにして、円の価値を下げるとか。色々問題はあるのだろうが、結局この国にとって「円安は全てを治す」のである。多少の問題など、経済の好景気の前では消し飛ぶはずである。大体、まさに今アメリカがそれをやっているのだ。国際社会の非難をかわせるという意味でも、チャンスである。制限付き等を考慮して踏み切ってもらいたい。
あとは元が市場開放されれば……。今はドルもユーロも駄目なので円が買われている訳で、ここで元が開放されれば投資家は元買いに狂奔するはずである。今は成長にストップが掛かりつつあるようだが・・・。しかし、日欧米に比べれば以前大きく成長余地が残されている中国は、格好の投資対象だろう。
日本が円の価値をコントロール出来たら如何に富めるかを考えると、今中国がやっている事実上の通貨統制が国際社会にとって如何に許し難い行為であるか理解できよう。